「コーチ道リレーインタビュー」では、指導者の先達である方々、指導者として現在ご活躍の方々のインタビューをリレー形式でご紹介しています。今回のインタビューは、ナショナルスノーボードデモンストレーターの柴田大さんです。
リゾート関連の会社に入社しスキー場の仕事についたことをきっかけに25歳からスノーボードに本格的に取り組み始め、主に指導者を対象にした全日本スノーボード技術選手権大会で活躍、選考会を経てナショナルスノーボードデモンストレーターに認定されました。
夏はゴルフ、冬はスキー、スノーボードができる環境で働きながら、デモンストレーターの活動を行なっている柴田さん。常にお客様に寄り添うことを心がけ、何よりも人とのつながりを大切にしていると言う柴田さんのお話を3回にわたってご紹介します。
(2025年12月 インタビュアー:松場俊夫)
前編はこちらから↓
https://coach-do.com/interview/67-1/
▷ 指導論はどのように学ばれたのですか?
20代前半までの私はあまり人と話しませんでしたし、人付き合いも誘われないと行かないタイプでした。仲間で集まった時に「お前は呼んでもどうせ来ないじゃない」みたいなことを言われたこともあって。お酒も飲みませんし、とにかく当時の私は自分から誘うことはあまりしませんでした。ですが25歳ぐらいの時に、待っているだけでは良くない、自分からアプローチしないと何も生まれない事に気づき、コミュニティを大事にしようと思うようになりました。
私が勤める会社は会員制のゴルフ場を3つ持っており、会員数がとても多いので、営業の仕事をする上でたくさんのお客様の顔を覚えなければなりませんでした。そこで名刺に自分の携帯番号を入れて配ったところ、多くのお客様がホットラインのように直接私に連絡ができるので喜んでくださいました。おかげでお客様が増えましたし、お客様には色々学ばせてもらいましたし、会社も私に色々な仕事を任せてくれました。コミュニケーションの必要性を強く感じました。
さらに、スキーもスノーボードもよくわからないまま指導員の資格を持つ方々に偉そうなことを言うのではなく、もっと寄り添わないとダメだと気づきました。指導員は皆副業としてやっているので、「普段どんな仕事をしているのですか?」「今度教えてくださいよ」といったプライベートな話も色々しました。スクールには様々なレベルや分野があるので、指導員それぞれの特性を知ることでより的確なインストラクターを配置することができます。
一人ではできない、人に助けられないとできないことがほとんどですから、コミュニケーションは絶対に必要で人に頼るしかないわけです。ゴルフ場のいいところは、普通には絶対に会えないような社長さんやスポーツ選手、芸能関係の方とも知り合えて、その人がまた他の人を紹介してくれることでコミュニティが広がるところです。

▷ 指導のために遠征している中国と日本では、若い人の態度や考え方に違いはありますか?
中国では私自身の情報を先に生徒さんに知らせてくれているせいか、食いつきがいいと思いますが、基本的に海外の人たちの方が積極性はありますね。日本、特に私の地元の山梨のような場所では、自分の範疇の中で過ごしていれば十分で、そこから出ることを好まない人が多いようです。今は知りたい情報はネットで得られますし、友達がいなくてもA Iが話し相手になってくれます。コミュニケーションの必要があまりないのです。
また、今の若い人たちは上下関係がなく、目上の人にも知らん顔の人が多いです。挨拶することが普通ではなくなっているのでしょうか、自分たちの時代とは全く違うと思います。若者は挨拶の大切さやコミュニケーションの大切さを教わっていないまま今の環境にいてしまうことが多いので、外部の講師を入れてでもマナー講座などをやるべきではないかと私は思います。
東京に行くと電車の中でスマホや本で情報を得ている人が多いと感じるのですが、田舎ではモチベーションが低い人がまだまだ多いです。やはり人は競わせないといけないと思います。スポーツ界のように企業もそうできればいいのにと思うのですが、リスクがあるとなかなかそうはいきません。能力を高めて給料アップしてという意識にはならないのです。ただ、今スノーボードのデモンストレーターチームのキャプテンを任されているのですが、ありがたいことにモチベーションが高い人が集まっています。デモンストレーターは競って勝ち上がらないとなれないので、現状のままでいると、どんどん置いていかれてしまうからだと思います。
私はコミュニケーションを大切にしていますので、若い人たちにももう少し踏み込んで対応しようかと思っています。サービス業に長く携わっているため、彼らを見ればどんな人か大体わかりますが、一番早い見分け方は質問が返ってくるかどうかです。多少なりとも私たち大人がやっていることに関心があるかどうか。もしこちらからの一方通行だったり、こちらの質問に答えるだけですとあまり期待はできません。あちらから何か質問があればコミュニケーションする気があるのだなと判断しますが、対話がないと相手を見極めることはできません。また接客と同じで、相手が求めていることに気づくことは大切ですが、寄り添いすぎると必要以上に時間がかかってしまいます。そこが難しいところです。
▷ ご自身が成長したと感じられたエピソードはありますか?
社会性の指導に関することなのですが、以前、学校に行っていないし友達もいないしつまらないという子がいました。その子に「チームだから助け合おう」「転んだ子は無視しないで助けよう」「お互いに寄り添おう」と指導しているうちに考え方に変化があり、最後には「学校行ってみようかな」と自分から言ったのです。心を開かせるには、まず仲間と一緒に自分が経験する、誰かのためにできることをやることが大切です。例えばリフトに乗る時も「さっきと違う子と乗りましょう」と言います。リフトに乗っている時間に会話をすることでチームも固まっていきます。それから「友達との時間ってここしかないんだよ」とも言います。すると、だんだん自発的に助け合うようになっていきます。
指導する際には一方通行になってしまうことが多いと思いますが、それは目の前に与えらえた仕事をどうするか、早く終わらせて帰りたいと思うか、見返りは関係なく目の前の子たちを真摯に考えられるかの違いだと思います。私は人との関わりを通じて救われたので、若い子たちにももっと人とつながって行けば自分の世界が広がるよと伝えてあげたいです。(後編に続く)
(文:河崎美代子)
後編はこちらから↓
https://coach-do.com/interview/67-3/
◎柴田大さんプロフィール
・ニックネーム:Ooki
・生年月日:1984年3月12日
・出身:山梨県富士吉田市
・職業:会社員
・趣味:ゴルフ、ショッピング
・所属:富士桜カントリー倶楽部、ふじてんスノーリゾート
・資格:ナショナルスノーボードデモンストレーター
スキー正指導員、スキーA級検定員
スノーボード正指導員、スノーボードA級検定員
・成績:2019年「第16回全日本スノーボード技術選手権大会総合8位」
:2020年「第7回甲信越ブロックスノーボード技術選手権大会4位」
:2021年「第8回甲信越ブロックスノーボード技術選手権大会1位」
「第18回全日本スノーボード技術選手権大会総合5位」
「第10回デモンストレーター選考会1位」
ナショナルスノーボードデモンストレーター認定
:2022年「第9回甲信越ブロックスノーボード技術選手権大会5位」
「第19回全日本スノーボード技術選手権大会総合13位」
:2023年「第10回甲信越ブロックスノーボード技術選手権大会7位」
SAJスノーボードデモンストレーター認定
:2024年「第21回全日本スノーボード技術選手権大会総合9位」
:2025年「第22回全日本スノーボード技術選手権大会総合13位」
「第12回デモンストレーター選考会2位」
ナショナルスノーボードデモンストレーター認定
Instagram:https://www.instagram.com/ooki.shibata/






