立命館大学体育会アメリカンフットボール部パンサーズの選手やスタッフにリーダーシップ研修「人と自分を動かすリーダーシップ〜自身のリーダーシップスタイルを確立する〜」を実施しました。
4種類(赤色、黄色、緑色、青色)のリーダーシップスタイルを理解し、自分に合ったスタイルを見つけていくプロセスにおいて、自己理解や他者理解を促すプログラムです。
(2021年4月 インタビューアー:松場俊夫)
大島康司さん(コーチ)
数年前にリーダー道場(QB道場®︎主催のリーダー育成プログラム)でこのワークショップを見学したことがきっかけでした。当時は私自身もコーチとしてどういうスタイルが合っているのかがわかりませんでした。私は緑色(サポート)タイプなので、赤色のように俺について来いというスタイルではないことはわかっていましたが、そうならないといけないのではと、ずっと思いながらコーチをしていました。ただ、見学したときに私自身の気持ちがすごく楽になりました。無理にそこを追求したり、しんどい思いをしてスタイルを変えたりする必要はないことに気づきました。その体験から、チームの選手にも絶対必要だと感じました。
また、以前から学生のリーダーを見ていると、どことなく無理しているなと思っていました。引っ張っていくタイプではないのに、みんなの前では無理してついて来いと頑張っているのを見てきて、早く自分のスタイルを見つけて欲しいなと思っていました。
参加した学生から聞いてみると、リーダーシップの発揮の仕方だけでなく、自分自身の理解が深まったり、周りのメンバーがどういうタイプかを知れたりして良かったと言っていました。また、上級生は就職活動をする前に受けたかったという声もありました。
本来はワイワイガヤガヤ盛り上がって練習するチームなのに、練習の中で厳しいことを言わないといけないと思って、選手同士がミスに対して罵倒することもあります。しかし、私は罵倒することより、もっとポジティブな言葉をかけて欲しいと思っています。もちろん、頑張って取り組んでいない人には厳しく言って欲しいですが、頑張って取り組んでいることを認め合いながら、応援し合いながら、強いチームになって欲しいと思っています。
今回のワークショップで色んなタイプの人間がいることも分かったし、自分が相手にどう働きかければよいのかや、相手がそれをどう感じ取るのかも理解できたと思うので、他者を認めつつ、自分の思っていることを発信できるような選手になり、前向きに進んでいけるチームになって欲しいと願っています。
下田 怜奈さん(3年生・マネージャー)
中学と高校でバスケットボールをやっていて、そこでキャプテンを務めていました。その時にチームを引っ張るということに悩んだ経験がありました。また、大学の授業のリーダーシップ論で、リーダーシップはリーダーだけが発揮するものではなく、一人ひとりが発揮するものだと聞いて興味を持っていたので参加しました。
中学や高校でキャプテンをしていたときに、自分には合っていないリーダーシップの取り方をしていたなと気づきました。自分の性格的には緑色の(サポート)タイプでしたが、中学や高校の時は多様なリーダーシップスタイルがあるということを知らなかったので、赤色の(先頭に立って引っ張っていく)リーダーを目指していました。結果的に、自分とは合わない組織づくりやリーダーシップの発揮の仕方をしていて、なかなかうまくいきませんでした。今回のワークショップでは、その理由がわかり、自分の本来のリーダースタイルや適正な方法が理解できて良かったです。
情熱的で常に先頭に立って引っ張って、プレー面でも背中で見せ、厳しいことをバンバン言っていくようなイメージを持っていました。ただ、チーム内で圧倒的な実力があった訳でもなかったですし、元々厳しいことをいうタイプでもなかったので大変でした。
参加したメンバーは、それぞれ色んなリーダーシップスタイルがあって、自分でもチームをリードできる存在だという気持ちを持てたのは確かだという、全員の共通認識があると思います。
藤本 凱風さん(2年生・選手)
先輩が参加する予定だったので、自分も参加して得られるものがあるといいなと思い参加しました。また、パート(ポジション)リーダーの人の気持ちがわかるのではないかと期待して来ました。
自分が思っていたものとは180度違っていました。自分がイメージしていたのは、リーダーというものはこういうものだという話を聞くだけだと思っていましたが、受けてみると、自分の性格に合ったリーダーシップがあるという話だったので、自分のことも発見できましたし、他の人の思考もわかったのですごく良かったです。
自分は周りを巻き込んで、楽しくするのが好きなので、自分はどういう立場であれ、それをやっていこうと思いました。また、他にもいろんな特徴を持った人がいるので、その人のことを考えて、発言や行動しないといけないなと思いました。
引っ張っていくスタイルでやっていました。人数も少なかったので、自分が絶対やらないといけないという思いがすごくあって、一人で色々考えてやっていました。ただ、自分の意思が伝わった人は動いてくれましたが、全体をしっかり動かせてはいませんでした。
自分はまだ下級生なんですが、下級生なりに自分ができること、具体的には声を出したり、盛り上げたりすることもリーダーシップだと思ったので、率先してやりました。また、参加したメンバーは最後に決めた目標をそれぞれがやろうとしていたので、ちょっと変わったかなって思います。
平 浩希さん(4年生・キャプテン)
個人的にリーダーシップを学びたいと思っていました。 また、キャプテンという立場でもあるので、学びたいと思って来ました。
まず楽しかったという印象が残っています。これまでは、リーダーは赤色(先頭に立って引っ張っていくタイプ)だという認識だったので、赤色のリーダーを増やそうとしていましたが、研修を受けてからは、リーダーは4色あって、それぞれの強みを活かしたリーダーを増やしていけたらいいなと気づけたことが一番良かったです。今年の4年生は引っ張っていくリーダーが少なく、そこが弱みだと考えていて、どうやったら引っ張ってくれる人が増えるのかと考えていましたが、4種類のリーダーシップスタイルがあると気づき、4年生に対するアプローチが増えたので楽になりました。
4種類のリーダーシップの話が自然と出て、研修を受けていない人にも浸透していきました。また、4年生で週の終わりに振り返りをするんですが、青色の(客観的でロジカルな)人がデータに関する情報を言ってくれることが多くなりました。
中高大とキャプテンをやって来ましたが、中学の時は赤一色で、できない選手に怒りすぎてしまい、自主性がなくなってしまった経験があります。個性を潰しているのが嫌でしたので、高校や大学では赤色が中心でしたが、黄色(情熱的に周囲を巻き込むスタイル)や緑色(一人ひとりを尊重しサポートするスタイル)も意識して使ってきました。今回の研修ではその変化を実感することができました。
今年のチームはスター選手がいないこともあり、全員がそれぞれの形でリーダーシップを発揮するチームを作りたいです。